煎茶の歳時記 煎茶道歳時記 写真解説
主婦の友社
1986年
196ページ
26 x 21.2 x 1.6 cm
ソフトカバー
カラー・モノクロ
※絶版
煎茶道が一般にも広く流行した昭和?後期の煎茶道本。
代?表的な煎茶道各流派当代?最高位の家元?・宗匠による、
四季折々の煎茶席やその趣向を凝らした席飾り・盛物、煎茶道具の取り合わせ47席を、
前半カラー写真で紹介。後半には、全席の会記(全体の流れの解説、使用された煎茶道具とその作家名)、
各流派の代?表的な掛物と盛物の組み合わせなども惜しみなく公開。
モノクロページでは季節に合わせて使用すべき煎茶道具・茶掛けとしての文人画・禅語の選び方、
賣茶流家元?・高取友仙窟による季節と煎茶器煎茶道具解説、
香と道具、香点前の連続写真もあわせて掲載。
各流派の家元?・宗匠監修。現代?煎茶席の実際において、類書の少ない最高峰の内容となっており、
カラーページも多く貴重な資料本です。
【序文より】
日本の精神文化としてはぐくまれてきた前茶道にあっても、四季おりおりの自然や行事をたくみにとり入れ、さまざまな演出を生み出してきています。その四季おりおりの煎茶席について見てゆきましょう。
明?治以後、旧暦(太陰暦)から新暦に替わり、節句や行事と暦のずれが生じているものもありますが、それなりに調和させて、あるものは旧暦のままで、あるものは新暦に移して。日常の行事としてとり入れています。暦をはなれて、自然の移り変わりとも調和させています。
春には春の、秋には秋の自然をたくみに演出して見せ、おりおりの行事に合わせての席づくりが見られます。そのとり組み方は実に多様で、席主の趣向の工夫があります。
煎茶の席づくりが自然の四季に合わせて演出されるとはいっても、その茶会の趣旨、会場、規模なども考えあわせて、同じ季節でもとり組み方はいろいろになりましょう。
【目次より】
煎茶道 主要流派ガイド
煎茶の歳時への想い 森本信光
冬から春へ 春から夏ヘ 夏から秋へ 秋から冬ヘ
●歳時十二ヶ月の煎茶席
初煎茶会 方円流家元? 水口豊園
初煎茶会 歳旦式黄檗東本流家元? 小林代?鶴
雪見と梅見 煎茶禮法青山流家元? 上條香祥
梅見 彩流家元? 星悠丈
ひな祭り 桃の節句 松月流家元? 渡辺宗敬
ひな祭り 桃の節句 煎茶禮法青山流家元?上條香祥
花見-席中での花見 松月流家元? 渡辺宗敬
花見-花まつり 黄檗東本流家元? 小林代?鶴
花見 黄檗弘風流家元? 高島尚堂
花見 観桜茶会薫風流家元? 加藤景正
花見 春の清?雅双席 東泰山流家元? 吉井円秀
家元?継承二十五周年記念茶会 織田流家元? 吉原南波
端午東阿部流家元? 土居雪映
端午静風流家元? 海野彰堂
端午 清?泉幽茗流家元? 古川純香
八つ橋茶会 賣茶流家元? 高取友仙窟
八つ橋茶会 黄檗掬泉流家元? 弓削利堂
胡蝶の夢 九華九華本堂 九華蕗朱
清?雅文人茶会 一茶菴流宗家嫡承 佃一輝
新緑-「季」をたずねて 黄檗売茶流家元? 中沢弘幸
七夕 東阿部流家元? 土居雪映
七夕 松風花月流家元? 高野楓石
七夕 松風流家元? 仙田竹窓
七夕 正風流家元? 中村常泉
七夕 織田流家元? 吉原南波
納涼 日本礼道小笠原流家元? 諸泉祐陽
大文字茶会 方円流家元? 水口豊園
月見-月待ちの茶会 松莚流家元? 中村松莚
月見-愛茗流家元? 木村幽亭
月見-観月茶会 ニ條流家元? 二條雅荘
月見-観月茶会 黄檗弘風流家元? 高島尚常
月見の茶会-秋の訪れ 皇風煎茶禮式宗家 森下眞翠
流祖献茶式 黄檗松風流家元? 加藤久山
菊見 ニ條流家元?ニ條雅荘
菊見 松風流家元? 仙田竹窓
菊見-菊づくしの席 清?泉幽茗流家元? 古川純香
菊見 彩流家元? 星悠丈
城山八幡宮献茶祭 薫風流家元? 加藤景正
紅葉茶会 煎茶道学会会長 西山泰生
紅葉の茶会 静風流家元? 海野彰堂
紅葉茶会 黄檗掬泉流家元? 弓削利堂
古稀祝賀茶会 松莚流家元? 中村松莚
忘年茶会 愛茗流家元? 木村幽亭
歳末忘年の茶会 松風花月流家元? 高野楓石
歳末の茶会 日本礼道小笠原流指導部長 上殿峨山
歳末の茶会 賣茶流家元? 高取友仙窟
歳末忘年の茶会 皇風煎茶禮式宗家 森下眞翆
●四季を彩る花、菓子、道具 そして…
・煎茶の道具 無季の名品 松莚流家元? 中村松莚
・煎茶の花と盛物
上殿峨山 海野彭堂 加藤景正 上條香祥 小林代?鶴
仙田竹窓 高野楓石 佃一祐 土居雪映 中村松莚 星悠丈 諸泉祐陽 吉原南波
春 夏 秋 冬
・煎茶の菓子
仙台の菓子 森の香本舗/和楽(三彩流)
東京の菓子 松庵(黄檗東本流)
豊橋の菓子 ちもと(松月流)
名古屋の菓子 川村屋菓舗(松風流)
京都の菓子 柏屋光貞
松山の菓子 有家菓子舗(松莚流)
・季節と煎茶器 賣茶流家元?高 取友仙窟
〈カラー〉
〈一色〉
・四季の文人画の画題 一茶菴宗家嫡承 佃一輝
春 夏 秋 冬 通年
・四季の禅語 黄檗弘風流家元? 高島尚堂
春の禅語 夏の禅語 秋の禅語 冬の禅語
・四季の煎茶の香 西園寺歩
煎茶道と香 香と香具 香と点前(写真解説) 歳事と香 春と香 夏と香 秋、冬と香
・歳時十二ヵ月の席の説明?と会記
使用した煎茶道具および作者名、床の掛物、盛物、飾り物のすべてのリストと席についての詳細な解説
・「季節と煎茶器」カラーページの説明? 賣茶流家元? 高取友仙窟
御指導・御執筆の先生がた
(カラー)煎茶の道具 無季の名品 松莚流家元? 中村松莚
急須
象谷竹根急須
万豊順記盛蓋茶銚
三友居茶銚
朱泥茶銚
金子恒急須と底のしべ印銘
朱泥孟臣茶銚
和全蔵六園急須一雙
墨縁斎急須と底の銘
水注
銅蟲仙盞瓶
康煕古染付桃形水注と底の銘
源内焼水注
上手水注南京瑠璃
康煕赤絵水注
茶碗
染付銅紐茶碗と底の銘
茶托
肖天泰茶托と底の銘
ほか
御指導・御執筆の先生がた
日本礼道小笠原流指導部長 上殿峨山
静風流家元? 海野彰堂
黄檗松風流家元? 加藤久山
薫風流家元? 加藤景正
煎茶禮法青山流家元? 上條香祥
愛茗流家元? 木村幽亭
九華九華本堂 九華蕗朱
黄檗東本流家元? 小林代?鶴
西園寺歩
松風流家元? 仙田竹窓
黄檗弘風流家元? 高鳥尚堂
賣茶流家元? 高取友仙窟
松風花月流家元? 高野楓石
一茶菴流家元? 佃一祐
一茶菴宗家嫡承 佃一輝
東阿部流家元? 土居雪映
黄檗売茶流家元? 中沢弘幸
織田流明?徳会会長 永野孫柳
松莚流家元? 中村松莚
正風流家元? 中村常泉
煎茶道学会会長 西山泰生
二條流家元? 二條雅荘
清?泉幽茗流家元? 古川純香
三彩流家元? 星悠丈
方円流家元? 水口豊園
皇風煎茶禮式宗家 森下眞翠
全日本煎茶道連盟事務局長 森本信光
日本礼道小笠原流家元? 諸泉祐陽
黄檗掬泉流家元? 弓削利堂
東泰山流家元? 吉井円秀
織田流家元? 吉原南波
松月流家元? 渡辺宗敬
黄檗東本流 大竹鶴暢
東阿部流 田地翠湖
川村屋菓舖 戸松義信
柏屋光貞 中川夕津也
松莚流 長野松洞
【会記 一部紹介】カラーページ全47席について、以下のような詳細解説あり。
1月 初煎茶会・歳旦式
黄檗東本流
家元?・小林代?鶴(カラー12P参照)
歳旦とは一月一日、元?日をいいます。また歳朝ともいいます。
当流は初煎会につづいて、歳旦の式典を行います。
まず、初煎会は煎茶、福茶、仙酒の三席を開筵します。大広間の歳旦式の会場では、床に日本黄檗宗開祖隠元?禅師の師、費隠禅師の書「寿康」の幅を掛け、不老富貴の盛物を飾ります。
煎茶席は、瑞祥の意を持った幅(六十年の場合は弘道筆の舞来瑞色入門新)を掛け、干支の置物、福寿和合の盛物などを飾り、茗具は君子棚飾りで煎茶の点前をします。
福茶席は、慈光筆の「福寿海無量」の幅を掛け、盛物は時事如意大吉を飾り、茗具は松蘭棚飾りをして、煎茶に塩を加え、茶釜で点てた福茶を供します。
仙酒席は、道元?筆の「彩鳳舞丹心-」の幅を掛けて、扇面台に不老長寿の盛物を飾って、仙酒を供します。
午前は煎茶、福茶、仙酒席で賀を祝い、午後より式は、「君が代?」敬唱により開会され、流の吉祥会、有声会、教授会など組織代?表によって、新年の抱負を語るあ
いさつのあと、家元?より歳旦のあいさつがあり、一同が新年の賀詞の交換をします。
さらに、前年度の活躍の成果が発表され、昇格者への受賞が行われたあと、最後に吉祥会会員によって、東雲棚飾りの点茶の披露があって、初煎会、歳旦式を終わります。
会記
於 東京美術倶楽部
*本席―歳旦式
床
幅 寿康 費隠書
香炉 時代? 三足式 渡り
盛物 不老富貴
炉屏 筑波根 一世家元?好
茶架 東雲棚
涼炉 白泥 三峰炉 春峰
急須 白磁 一双 春峰
水注 古九谷
茶入 売茶好 亜字式 時代?
仙媒 竹 福寿 銚琅
香立 池畔 南部
炉台 卍くずし 初代?春峰
文人瓶 七宝 波り
茶碗 染付 和峰
茶托 双鶴 蔵苑
箸瓶 変釉 春峰
滓盂 染付 白鳳
建水 くり 糸目
*福茶席
床
幅 福寿海無量 黄檗 慈光書
盛物 時事如意大吉
香炉 鹿(禄) 時代?
炉屏 筑波根 一世家元?好
茶架 松蘭棚
涼炉 白泥 春峰
ボーフラ 白泥 春峰
水注 白磁 春峰
茶入 白磁 春峰
仙媒 牙
巾盒 染付 春峰
茶盆 染付 春峰
茶托 雲板形 一世家元?好
盆巾筒 染付 蘭六角 春峰
香立 池畔 南部
烏府 籐編み 平安
建水 くり 糸目
*煎茶席
床
幅 舞末瑞色入門新 弘道書
香炉 伊万里 時代?
盛物 福寿和合
炉屏 筑波根 一世家元?好
茶架 君子棚 平安
涼炉 白泥 三峰炉 春峰
双急須 白磁 杵式 春峰
水注 盛盞瓶 初代?春峰
茶入 古錫 時代?
仙媒 桑 如意式 平安
茶碗 染付 子母鐘売茶好 丹祐
茶托 古錫 木瓜式 渡り
鳥府 紫竹編 巧芳斎
洗瓶 銅糸目 銀威し 時代?
滓盂 染付 春峰