希少本 煎茶の花 文人華 煎茶道 煎茶席のいけばな 写真解説 煎茶道具取合せ 盛物 床飾り 盛物謎語雅題 大棚飾り 掛物 花材 花入 茶旗 炉屏 涼炉 炉台 湯沸 瓶床 棚 水注 巾盒 箸瓶 茶入 茶計 褥 茗盆 茶碗 湯冷 急須 茶托 香皿 建水
真行草の飾り付け
海野彰堂 著 煎茶道静風流二世家元?/いけばな国風華道会家元?
主婦の友社
1992年
167ページ
約28.5x22x2.2cm
本文写真図版 フルカラー 巻末解説ページ モノクロ
函入 金箔押し布張り上製本
※絶版
『煎茶の茶花』に続いて刊行された、文人華・煎茶席の花について、煎茶席の床飾り、道具飾りについて、
四季折々12か月の煎茶席における煎茶道具取合せ・花の作例を総合的にフルカラー写真で展観。
選びぬかれた最上級の煎茶道具の数々とその組み合わせは必見、
またそれぞれ使用した煎茶道具、花材の解説を付したもの。
文人華のみでなく、煎茶の道具飾りも併用して行い、煎茶具のしつらいによって煎茶の茶花、文人華を強調する構成。
文人華をいけるには必須の、南宗画の画題、謎語画題の知識、煎茶席の花と床飾りの各項目についてなど、情報満載の内容です。
煎茶道静風流二世家元?であり、いけばな国風華道会家元?でもある著者、
海野彰堂がそのノウハウを惜しみなく公開した、大変貴重な一冊です。
【はじめに】より
前回の『煎茶の茶花』に続き、このたび『文人華―煎茶の花』を刊行する運びとなりました。文人華は、もともと煎茶を愛好した文人墨客達が、定型化した格花から離れて、自由気儘に、かつ、中国南宗画の謎語画題などをとり入れて遊び心から瓶に花木を入れて楽しんだのが始まりです。故に文人いけと呼ばれ、まさに文人華は煎茶席の花であると言っても過言ではありません。もともと文人華なる名称はなく、洒脱な風流を楽しむ文人達の、
高尚風雅な余技から生まれたもので、文人いけが、のちに文人華として、いけばなの流派も確立され、今日に及んでおります。
今回は文人華のみでなく、煎茶の道具飾りも併用して行い、煎茶具のしつらいによって煎茶の茶花、文人華を強調してみました。
文人華をいけるには南宗画の画題、謎語画題を知ることがたいせつです。江戸?末期より明?治にかけて文人達が楽しんだ時代?と現代?では、生活様式に著しい変化が
あります。したがって、過去の謎語画題にこだわる必要もありませんが、やはりこの謎語を知らずして文人華をいけることはできません。現代?の瓶華や盛物の大半は、創作雅題がつけられております。しかし温故知新、古きを
知り、新しさを求めなければなりません。そんな意味で、末尾に謎語雅題を列記しました。毎回のことながら、撮影時と花木の開花時が合致せず、牡丹や石楠花、浜茄子等の好花
材を撮り残したことが残念です。
発刊にあたり、玉稿をいただいた工藤昌伸先生、森本信光和尚に感謝の意をあらわすとともに、主婦の友社、編集の斎藤悦子氏、並びに毎月の作品撮影に協力くださったカメラマンの萩原宣昭氏に心から御礼を申し上げます。
至樂軒海野彰堂
【著者について】刊行当時の情報です
茶名 海野彰堂
華名 海野彰人
本名 海野明?
煎茶道静風流二世家元?、いけばな国風華道会家元?。
大正十二年十一月二十六日生まれ。昭和?三十五年、国風華道家元?福島経人師の死去に伴い、家元?を継承。国風華道会として再発足、会長となる。昭和?四十四年、煎茶道静風流家元?海野龍堂師より家元?を継承。煎茶道静風流二世家元?となる。昭和?六十三年四月、藍授褒章受章。
現在社団法人全日本煎茶道連盟常任理事財団法人日本いけばな芸術協会理事、静岡県華道連盟会長静岡県茶道連盟副理事長。
【目次】より
はじめに 海野彰堂
「文人華-煎茶の花」刊行に寄せて
煎茶の花の歴史を顧みて 工藤昌伸
鋭い感性に光る作品 森本信光
<カラー写真図版ページ>作品写真解説
睦月
新年を迎えて / 歳寒二友 / 仙姿幽香不老 / 春色先梅嶺 / 綰柳迎客 / 君子悟道 / 文房添花 / 不老長春 / 平安長春 / 紅白清?友 / ミニチュア道具で / 春 /
如月
春近し / 東風開花 / 画幅賞賛 / 福寿早春 / 異色三友 /
弥生
雛祭り / 唐?三彩の壺に / 花吹雪 / 登仙 / 香り満つ / 春風来南 / 万国の春 / 安穏 / 深山 /
卯月
緑蔭釣人 / 筍の盛物で / 春陽 / 衣替え / 二清? / 春の席 / 金花映春風 / 同行二人 / 楚楚開凋 / 桃里境 / 七重、八重 / 金紫合友 / 舞の鈴 / 夏 /
皐月
初夏のきざし / 風薫る / 高尚 / 双玉 / 芳香 / 五月の席 / 優艶なびく / しずやしず / ゆうゆう / 初夏の風 / 夏の訪れ / 遺愛の瓢 / 水辺 / 金銀花 / 仲よし / 芳香万里 / さわやかに / 牧溪山居 / 「水無月」 / 遊蝶 / 適材適所 / 消夏 / 窓下清?風 / 夏の宵 / 紫白雨情 / かがり火 / いのち、短し / 陽光 / 雨収まりて / 雨滴 / 半夏生 / 山水有清?音 / 養老の滝 / 清?風 / 孔雀のように / 梅雨明?け /
文月
夏の水煎席 / 青果同座 / 緑蔭 / 清?風動修竹 / 山村情趣 / 日時計 / 真昼のシャンデリア / 仏の座 / 涼風に開花 / 香花豊葉 /
葉月
残暑 / 紅輝 / 晩夏 / 入道雲 / 网 /
長月
観月の席 / 萩月夜 / 迎實 / 初秋 / グリーンーボール / 秋ひでり / のぼり藤 / さりげなく / 朝琳 / 小品花 / 臑当籠に / 花寄せ / 一期一会 / 野分 /
神無月
百子秋色 / 野点席 / 秋里添景 / 酣 / 一枯一栄 / 山村風物 / 束屋の立札席 / 挽歌 / 朱実万年 /
霜月
晩秋の席 / 雅友 / 月光 / 錦秋 / 脇役 / みちくさ / ひとときを / 立礼席 / 客待ち / 囲炉裏の間 / 紫玉 / 李朝?の壺に / たわわ / 秋の山路 / 冬 /
師走
初冬 / 蔦もみじ / 器局飾り / 歳寒天寿 / 冬の席 / 臘月 / 町事万年 /
<モノクロ解説>
煎茶席の花と床飾り
煎茶の花
盛物と文人趣味
花入と敷板
花入の真、行、草
花入の種類
敷板と卓
図録で見る
雲烟供養図録
東山茶会図録
圓山勝会図録
青湾茗図誌
文人華と煎茶の席
文人華の花材
盛物の構成
盛物の雅題
文人華・盛物謎語雅題
煎茶席の花
前席の花
広間の花
小間の花
床飾り
真、行、草
本勝手と逆勝手
真の飾りつけ
行の飾りつけ
草の飾りつけ
掛物と花入の位置
床の間の掛釘
【カラー写真解説】ページより一部紹介
煎茶席 新年を迎えて
正月の茶席を飾るにふさわしい字句の掛物をかけ、めでたい雅題の仏手柑と竹を盛物とした。
花は梅に椿で紅白に。茶道具は大棚を用い、茶入、水注、茶碗など、金襴手、銀襴手でととのえて新春を寿ぐ。
●床
掛物 「日出乾坤暁」 黄檗二十五代?華頂筆
「平安大吉」
盛物 仏手柑 金明?竹
器 根来芭蕉葉盆
花 白梅 紅侘助椿
花入 金襴手瓢形捻花瓶 五代?竹泉作
●大棚飾り
茶旗 「清?風」 黄檗五十八代?行朗筆
炉屏 梅に鶯の透し 菊斎作
茶具敷 家元?好み流紋入り 鈴木一作
涼炉 白泥 三峯炉 五代?竹泉作
炉台 染付龍文 五代?竹泉作
湯沸 白泥 五代?竹泉作
瓶床 白竹亀甲編み 玩々斎作
棚 流好み四方大棚
水注 藍瓷白金襴手 龍文仙
盞瓶 五代?竹泉作
巾盒 色絵花鳥文 篤作
箸瓶 色絵独楽 丹祐作
茶入 染付金襴手 宝寿文切
子形 五代?竹泉作
茶計 象牙「静風」彰堂筆
褥 福寿文
盆覆い 家元?好み流紋入り
茗盆 紫檀金象嵌 時代?
茶碗、湯冷、急須 金襴手 永楽妙全作
茶托 南鐐 栄真作?
急須台 南鐐金彩 一司作
香皿 錫陶板はめ込み唐?物
建水 南鐐 五良三郎作
盆巾入 金彩亀甲文 五代?竹泉作
炭籠 鉄斎絵付け蓬莱山 鉄斎所持
羽箒 自鳥
炉扇 「高古清?風」 黄檗五十二代?道元?筆
火箸 純銀 六陵瓢頭 蔵苑作
「歳寒二友」
花 白梅 紅侘助椿
花入 金襴手瓢形捻花瓶 五代?竹泉作
薄板 真塗蛤端
掛物 「日出乾坤暁」 黄檗二十五代?華項筆
黄檗でも名筆で知られる華頂の書に、ふくいくたる芳香を放つ白梅を金襴手瓢形の花瓶に挿して飾った。瓶の押し口が小さいので、小ぶりな侘助椿を入れて口元?を締める。瓶華は。花、器ともども生かすようにいけねばならない。
雲龍梅松
花入 緑釉宋?壺
花台 紫檀高卓唐?物
掛物 新春の詩高遊外筆
置物 茗寿老 初代?竹軒作
売茶翁の元?旦口號を掛け、下に茗寿老像を飾る。高卓の上の唐?物の壺には、ほどよく開花した雲龍梅を下垂させて挿す。細めの老松を入れ、純白の胡蝶蘭を添えて、正月花とした。
盛物
君子悟道 仏手柑 芭蕉葉盆 春蘭
仏手柑は形態と香りがよく、文人華や盛物には比較的よく用いられる。
仏の手の形から仏手柑は「悟道」、蘭は「君子」で、雅題を「君子悟道」とする。
文房添花
花 紅侘助椿 衝羽根
花入 瓢形 大樋年朗作
花台 紫檀中卓
花 寒菖蒲
花入 呉須唐?物
煎茶では、本席以外の待合席や展観席などで文房飾りを行う。硯屏、硯箱、水滴、印など並んだ机上には小品花を置き、机の脇に卓を置いて侘助椿を入れてみた。衝羽根や寒菖蒲は、冬の花材として使われる。
ほか