超一流の執筆陣による、煎茶道具銘品・茶道具銘品の写真解説。
出版当時は、茶道は花嫁修業として全盛をほこっていた時代?ですが、
本書は珍しい男性向けの茶の湯(抹茶・煎茶)の本です。
本書一冊で、抹茶の茶道、煎茶道両方のお点前、客作法、茶会の心得、
茶道具・煎茶道具、懐石料理、茶花、普茶料理、美味しいお茶の入れ方等一通り知ることができます。
特に、煎茶道に関しては書籍、資料も少なく貴重なものです。
元?来、茶道とは男性のたしなみでありました。
織田信長、豊富秀吉のような天下人から、小林一三、松永安左エ門、五島慶太、松下幸之助、稲盛和夫氏など現在においても第一級の成功者に愛される茶道。
多くの政治家や成功を収めている経営者たちは、茶の湯を嗜み、己と向き合う力、何事にも動じない心、武士道精神を養いました。中国から禅寺に伝わった喫茶がやがて戦や政争、命のやり取りの日々を送った武士により、一服の茶で己と向き合っては覚悟を養い、客をもてなす道となり、現代?へと受け継がれています。
各流派の家元?自らが男性向けに語る、茶の湯の魅力や歴史、銘品の解説、茶席に呼ばれた時の礼儀作法、海外で外国人をもてなすためのお点前などまでを網羅した、入門と銘打たれているが実に最高峰の内容の一冊。
各界の第一人者が筆を執り、最高級の茶道具・煎茶道具をとりあげてわかりやすく解説、
特に「茶会は一人でもできる。海外への単身赴任、印象を深める茶会のすすめ」や、
ほとんど類書のない、男性向けの「煎茶席に呼ばれた時の基本の動作」は必読です。
(もちろん女性も楽しくお読み頂ける内容です)
第一級の茶道具写真解説については、商品説明?では煎茶道具についての解説を少しくわしく取り上げました。
昭和?60年、世界に日本のビジネスマン達が飛び立っていった時代?。
熱気のこもった本文の内容は、すでにグローバル社会化した現代?においても通用する実用書として、また楽しい読み物として茶道具コレクター、愛好家必携の書。
国内・海外の要人、賓客をもてなす、あるいは客として招かれるような機会のあるビジネスパーソンにとっても有用で、
また教養としての茶道、茶の湯、煎茶道が再注目される中、大変貴重な内容充実・資料本です。
(内容 見出しより)
細川護貞 喫茶の楽しみ
小堀宗慶 茶の湯の美
伊藤ていじ 茶室と露地
辻義一 懐石料理
小田栄一 茶道具を選ぶ
川上閑雪 抹茶を飲む=客の心得
千宗之 抹茶を点てる=亭主の心得
千宗室 茶の湯の国際化
田中仙翁 現代?と茶道の魅力
堀内宗完 茶の湯のなりたち
戸田勝久 茶人の時代?と群像
熊倉功夫 近代?財界人と茶
田中秀隆 外国人を茶でもでなす
熊倉功夫vs石田敦士 茶書を読む
塚本幸一・近藤道生・松本望・黛敏郎・北村謹次郎 私の茶
高取友仙窟 煎茶器賞玩
伊藤ていじ 煎茶の名席
森本信光 普茶料理
諸泉祐陽 煎茶道具を選ぶ
海野彰堂 煎茶を飲む
客の心得土居雪映
煎茶をいれる 亭主の心得
村瀬玄妙 煎茶と文人
安居香山 煎茶道の歴史と精神
土居雪映 玉露のいれ方
海野彰堂 番茶のいれ方
上殿峨山 冷茶のいれ方
【目次】
序 喫茶の楽しみ 細川護貞 日本工芸会会長
<抹茶>
●図版
茶の湯の美 小堀宗慶 茶道遠州流家元?
茶室と露地 伊藤ていじ 建築史家 工学博士 建築評論家 作家
懐石料理 辻義一 懐石 辻留
茶道具を選ぶ 小田栄一 茶道研究家 古美術商
●私の茶 塚本幸一・近藤道生・松本望・黛敏郎・北村謹次郎
●点前
抹茶を飲む―客の心得 川上閑雪 江戸?千家家元?
抹茶を点てる―亭主の心得 千宗之 裏千家若宗匠(当時)
●本文
茶の湯の国際化 千宗室 茶道裏千家 家元?
現代?と茶道の魅力 田中仙翁 大日本茶道学会 会長
茶の湯のなりたち 堀内宗完 茶道表千家宗匠
茶人の時代?と群像 戸田勝久 茶人、茶道研究家
近代?財界人と茶 熊倉功夫 日本の歴史学者(日本文化史・茶道史)
外国人を茶でもてなす 田中秀隆
対談 茶書を読む 熊倉功夫・石田敦士
<煎茶>
●図版
煎茶器賞玩 高取友仙窟 煎茶道 売茶流家元?
煎茶の名席 伊藤ていじ
普茶料理 森本信光 全日本煎茶道連盟事務局長
煎茶道具を選ぶ 諸泉祐陽 煎茶日本礼道小笠原流家元?
●点前
煎茶を飲む―客の心得 海野彰堂 煎茶道静風流家元?
煎茶をいれる―亭主の心得 土居雪映 煎茶道東阿部流家元?
●本文
煎茶と文人 村瀬玄妙 黄檗宗管長
煎茶道の歴史と精神 安居香山 中国文化学者
玉露のいれ方 土居雪映
番茶のいれ方 海野彰堂
冷茶のいれ方 上殿峨山 日本礼道小笠原流
茶道関係出版物一覧
茶道流派一覧
(カバー袖より)
こだわりのない自由で気楽な気持で、茶との機縁をつかんでほしい 細川護貞
茶の湯の美意識は、ものの奥に秘められた心に感応して生じる 小堀宗慶
茶室は高度の文化を総合化する場であり、情報取引の場所でもあった 伊藤ていじ
魚にしても野菜にしても、新鮮なものだけがもっている旨味がある 辻義一
茶道具を求めるときには数寄の心を忘れずに 小川栄一
茶会は、打てば響くような客の反応があって盛りあがる。一座建立である 川上閑雪
先人が育んだ生活文化に目を向ける。現代?人が見失った別の人生がある 千宗之
一流人はまず自国の文化を知り、それから外国の文化に関心をよせる 千宗室
パイロットがコクピットに入る。クルーはまさに一期一会の仲問である 田中仙翁
釜の湯の煮え具合を「湯相」といって、茶人はこれを大切にする 堀内宗完
同朋衆の多芸、連歌師の処世、禅僧の気骨を兼ね備えることが茶の湯者の基 戸田勝久
数寄者たちを夢中にさせた道具をとおして、彼らは新しい文化を創った 熊倉功夫
茶会は亭主一人でもできる。海外への単身赴任、印象を深める茶会のすすめ 田中秀隆
各時代?を茶人がどう生きて、どんな茶をやってきたか。今日の眼で読んでみる 熊倉功夫/石川敦士
煎茶家たちは愛好した道具の箱に、出逢いのいきさつを絵入りで書いていたりする 高取友仙窟
煎茶の茶席は開放的で、季に応じ庭を見ながら喫茶を楽しむ 伊藤ていじ
中国風の精進料理がやがて黄檗の普茶料理として巷間に知られていった 森本祐光
客の前に持ち出す道具は、あるじの趣味を反映するものを選ぶ 諸泉祐陽
一碗の茶には、亭主の客をもてなす心がこめられている。静かに服し味わう 海野彰堂
来遊をねぎらい、何よりも美味しいお茶をさしあげて亭主の喜びを表わす 土居雪映
茶の葉を湯に投じ、その茶汁を味わいながら詩画を語る。 文人サロンの誕生 村瀬玄妙
道行く人に茶を売った売茶翁、その生活そのものが煎茶道精神といえる 安居西山
茶器や菓子器の、手から感ずる冷たさも味覚につながる冷茶の心俳 上殿峨山
(煎茶器賞玩 高取友仙窟 より一部紹介)
引動清?風 白泥三峰式涼炉 26.3cm
煎茶家必携の堂々とした涼炉で、肉厚の胴と上部の斜めに削られた峰、豪快にあけられた亜字式風門、その上に押された「引動清?風度山林」の七字二行の双印、肩の木の葉形の印、諸家の涼炉とも多少のちがいはあるけれども共通した見どころの第一級の涼炉である。
倉敷・大原家、大阪・田中介眉旧蔵。
揚名徳勝 白泥三峰式涼炉 銘 秀才炉 高26.5cm
「弘化三年仲冬 法橋仁阿弥道八模造 珍蔵」。煎茶器で銘をもつものは稀少で、近衛予楽院が特に出来のよいすぐれた涼炉として「秀才炉」と命銘し、その写しが造られている。白泥窯変、二重風門、ごく薄造りで、爪も薄く端正につけられている。大正七年の近衛家の入札には、永楽妙全の写し百個が造られて評判を高め、五万三千九百円の破格の値で売買され、当時の煎茶家を驚かせたという。
雪掃 白泥三峰式涼炉 高さ23.3cm
「天保二年初秋 於崎陽求之」と、旧蔵者である長浜の豪商梅村家箱書の涼炉で、引動清?風と同形式であるけれども、極めてていねいに造られた、洗練された優美なやさしさがある。大きく削られた峰の面も見事で、風門も神経を注いでていねいにあけられ、風門上の「雪を掃う」の二字もこの涼炉を象徴している。化粧のおしろい釉も美しい、この涼炉には端正な小型の椎穀の湯沸が似つかわしい。
染付詩文茶心壺(右)青木木米作 高11cm 東京国立博物館蔵
わが国の陶工で木米ほどの文人は少ない。煎茶の流行期に登場し、中国陶磁に詳しく、煎茶家・文人と交遊したことで、煎茶器の名品が数多くのこされている。この染付の詩文入りの四方の茶心壷は、木米の書の妙を尽くしたもので中国でも吉祥句や風雅な字句など文字を使用する例はあるが、器全体を詩文でおおい尽くす細密なものは見られない。
品泉 古錫菱花式茶心壺 高11.0cm
古錫の見どころは多い。この品泉の茶心壺は、金脈も銹が浮き出して古雅であるが、稜線も鋭く、内部は美しく輝き、張星光・林克瑞の名品におとらない風格がある。菱式には三、四、五、六、八、十、十二稜などの形式があるが、この四稜の菱花式が最も多い。明?治初年の関西の篆刻家で、煎茶器鑑定でも知られる山本竹雲の箱書をもつ。
沈存周 古錫壺式茶心壺 高8.4cm
沈存周の茶壷は詩書や書画の彫られたものが多く、蓋の上・中蓋・胴・底などに楷行篆の書体で絶句・対句が刻まれている。関東の文人煎茶家で詩文、篆刻で有名な細野燕台が友人所蔵のこの茶壺にひかれ、行方を心にかけていたところ、偶々再会して手に入れ喜びのあまりその事情を箱に誌している。
萬豊順記紫泥 一文字蓋茶銚 高5.0cm
伊藤博文公の愛妾、おゆうが、福井の煎茶家たちが大金を投じて買うことが出来ないのを恥として買いとり有名となったもので、その後、転々として昭和?初年愛知県一宮市の富豪の蔵に入るまで、明?治以来煎茶界をにぎわした。
萬豊順記には烏泥・朱泥・紫泥と、盛蓋とー文字蓋があり、銘款も各種ある。山本竹雲は、数奇な生涯のうちに三十数箇の萬豊順記を取りあげて箱書をしているが、盛蓋がおおく、一文字蓋のものは少ない。
三友居 朱泥壺式茶銚 高6.5 cm
明?治以来、煎茶会記にしばしば登場する茶銚は惧輪珠と三友居で、煎茶家必携の名品茶銚とされる。明?るい紅をおびた微細な半泥の、なめらかな肌ざわりと、独特の類例のない形の胴を特徴とし、玉川珍平式と共通するなど、ほかの茶銚とくらべ大形で堂々たる風格をもつが、手取りの感じは意外に軽やかである。三友居壺式には玉川珍・楽文人・伴玉人・作主人・荊溪美玉など風雅な銘のものがある。この茶銚も竹雲の箱に入る。
倶輪珠 梨皮朱泥茶銚 銘 砂丘 高6.8 cm
文久二年(1862)の大阪の青湾茶会には、倶輌珠や惧輪珠をおもわせる茶銚は全く使用されず、明?治七年の青湾茗酪茶会に梨皮倶輪珠が初登場、八年の円山勝会には梨皮や紫泥の倶輪珠が六席に用いられ、九年の「茗壺図録」には「倶輪珠ヲ獲ル者二非レバ、与二茗事ヲ言ヒ難シト曰二至レリ」と惧輪珠全盛を批判している。また丁稚倶輌珠という粗作の茶銚は、抹茶系の煎茶家に侘びた茶銚として好まれた。奥蘭田旧蔵の茶銚である。
玉川珍 朱泥茶銚 高5.3 cm
東京の煎茶家、奥蘭田(玄宝)は関東の茗壺三十二種に茶具図賛にならって姓・名・字号をあたえ、図や銘を録した(明?治九年刊「茗壺図録」)。蘭田の箱に入る。
紅毛藍絵 倶輪珠茶銚 高8.4 cm
茶人の間では紅毛とよばれるヨーロッパの器を茶器としてとりあげ珍重するが、煎茶では唐?物つまり中国以外の舶来品はあまり用いられることがない。
幕末・明?治期の煎茶家好みの倶輪珠の約束をそなえていることから、わが国からの注文品とおもわれる。胴に欧風化した光琳菊と四枚の葉、唐?草がえがかれ、口と手には西洋のものに多い横縞の線文があり、いかにも紅毛の茶銚の風情がある。
南蛮茶銚 青木木米 作 高8.5cm
享和二年(1802)の「煎茶早指南」に、木米は「唐?物をうつすに好を得たるもの」と称されている。木米の茶銚は交趾写しが最も美しく目立つが、この南蛮写しは極く薄造りで、均斉のとれた美しい胴、やや上についた小さめの口と、思いきって伸びた折れてしまいそうな手がアンバランスにつき、荒々しい南蛮の土にやわらかくかかった落ち着いた自然釉。いかにも茶人好みの茶銚で、神経の行き届いた名品といえよう。木米の蒐集家、湯川七石旧蔵、「七石翁図録所載」。
古青華磁腰捻茗碗 成化六字銘 口径7.1 cm
梅の花を描いた煎茶碗は松竹梅のほかにはないが、梅の花を連想するものに捻文(大捻・本捻)と腰捻がある。五弁の捻花の小碗は主として盃に使用され、煎茶用には腰捻の下半部に花弁と萼の捻文と、口縁に雁木・青海波・雷文などの連続文がある。成化六字銘のものが多いが、明?末清?初の古染付やそれ以後、煎茶碗の中では比較的数が多い。
古青華磁松竹梅茗碗 成化六字銘 口径6.5cm
明?末清?初の古青華磁は民窯の稚拙な趣の風雅なものが多いが、枝を張った松、よく伸びた竹、花をいっぱいつけた満開の梅が格調高くていねいにえがかれたこの茗碗は異色といえよう。中国では歳寒三友として濃い緑の松は不老長寿、風雪に耐えて真っ直ぐ伸びる竹の貞節、また春に先がけて清?香をはなつ梅を、老境、逆境、困難にあっても変わらない節操としてめでたのである。
古青華磁胴紐茗碗 口径5.5 cm
中国陶磁器のうち古青華磁(古染付)とよばれるものは明?末清?初の作で、雅味のあるものが多く茶人間に定評がある。中でも胴紐の単純清?楚な図柄は文人に好まれて種類も多く、白磁に一条の胴紐だけのもの、口縁に雷文や細い線文のものもある。胴紐の茗碗と古錫円式無地無銘の托子との取り合わせが第一とされる。一楽荘旧蔵。
古青華磁丸紋茗碗 口径7.0cm
文人の願いは仙境に住み不老長寿の術を得ることで、そのためには仙境のような所に住み修行を続けることである。この丸、紋は宝相華ともいい、仙境や極楽などの理想境に咲く花で、現実の花ではない。
明?治の南画家田近竹邨は、田能村竹田の『亦復一楽帖』を入手して一楽荘を経営し盛んに煎茶会を催したが、その清?玩の第一としてこよなく愛した名碗である。
古青華磁笛吹茗碗 口径5.5cm
李白の詩「春夜洛城聞笛」にもとづく茗碗で月下に笛を吹く人物をえがく。このほかに敷物に座り笛を吹く図、立って笛を吹く図に李白の詩の一部を書いたものなど類例の多い茗碗である。周茂叔愛蓮、東坡観月、義之換鵞、月下対話、漁樵問答など故事を画題としたものは、煎茶席の話題を提供して、主客の会話を通して興趣を高める。
古青華磁楓橋夜泊茗碗 口径5.8 cm
中国江南の水の都、蘇州郊外の寒山寺を詠んだ楓橋夜泊の詩は、日本人に好まれ愛唱される。月明?りの下、夜泊するーそうの小舟と詩の最後の一句「夜半鐘声到客船」を二行に書きつけた古染付の煎茶碗は文人たちに好まれ、夜半鐘声ともよばれる。古来藤田家伝来の夜半鐘声が有名。
赤絵詩文茗碗 青木木米作 口径7cm 東京国立博物館蔵
木米作の字入りの茗碗は、染付の盧同の茶詩の七種と赤絵詩文がある。染付の茶詩は、盧同の友人から贈られた新茶を喫んで陶酔し仙境に遊ぶ過程が文人たちに喜ばれ、諸家に伝来する。赤絵の詩文入りも細字と極細字があり、この極細字の胴いっぱいに書きこまれた木米の書芸の妙をあますところなく発揮した名品である。
時代?の煎茶器 (高取友仙窟・売茶流家元?)
煎茶が脚光を浴びて巷に登場した時代?は、売茶翁没後五十年頃の文化文政、同百年頃の幕末から明?治初年、同百五十年心の大正初年から戦前、同二百年の戦後などいくつかの波風をのりこえて発展を続けけてきた。
その間にすぐれた煎茶家やその周囲の文人・工芸家たちによって、中国より伝来の煎茶器や器物を見たてて煎茶器にとりあげたり、国焼の煎茶器や新しい各種の考案がなされている。煎茶法は日本の礼法にのっとって日本化されたが、煎茶器は唐?物が主で、国焼など和物煎茶器は意外に少ない。それでも煎茶家たちが愛好し、箱の内外に絵や感想など出逢いのいきさつをしるしたものがあり、そのようなものに出あうと煎茶人の心がいきいきと伝わってくるようである。煎茶の歴史は浅いので、抹茶器がもつ歴史の重みと伝来はないけれども、煎茶家たちがとりあげた煎茶器をいくつかに分類してみた。
売茶翁の煎茶器
文人旧蔵の煎茶器
池大雅・上田秋成・木村蓊葭堂・八僑売茶・田能村竹田・浦上春琴・頼山陽・山本梅逸など、江戸?時代?後半の文人たちが手造りしたり愛蔵した煎茶器で、なかでも蓊葭堂所蔵の売茶翁の遺品は名高い。
名家所蔵の煎茶器
近衛家・西園寺家・伊藤博文公・山県有朋・杉聴雨など公家、明?治の元?勲など名家所蔵のもので、近衛家の秀才炉・伊藤公のおゆうの萬豊順記など話越に残る煎茶器がある。
鑑定家箱書の煎茶器
山本竹雲・奥蘭田を東西の煎茶器鑑定の双璧に、泰蔵六・富岡鉄斎・村田香谷・細野燕台など中国煎茶器に造詣の深い人々が箱書をしたもの。竹雲箱のものは価格が一桁上がるとされ名品も多い。蘭田は『茗壺図録』に関東の茶銚三十ニ個を図示し、姓名字号などをあたえている。
蒐集家旧蔵の煎茶器
松本雙軒庵・湯川七石翁・藤田男爵家・横江竹軒・田近竹邨・出川清?白軒など、文人書画や煎茶器蒐集家のコレクションで美術倶楽部史を飾るものも多い。
文人書画の煎茶器
田能村直入・富岡鉄斎・橋本関雪・村田香谷・田中柏陰・田近竹邨・永阪石タイなどが、陶工たちの作品に書画をえがいたもので風稚なものが多い。
有名作家の煎茶器
青木木米・清?水六兵衛・高橋道八・尾形周平・音羽乾亭・大田垣蓮月・三浦竹泉・泰蔵六・加納鉄哉など京都周辺の陶工など、鯉江方寿・伊奈長三・杉江寿門・山田常山ら常滑、森有節・円相舎半助・堀友直など万古の名工の作も多い。
茶道職方の煎茶器
明?治になって煎茶が急に発展し、茶道が今までの力を失った短い期間、楽慶人・永楽保全・和全・名越弥五郎・昌晴・中川浄益・金谷五郎三郎など抹茶職方の煎茶器があり、長い茶道の歴史のにじむ佳品がある。
(茶の湯の美 より一部紹介)
青磁透彫二階香炉 明?時代? 根津美術館
林和靖紅花緑葉香合 明?時代? 根津美術館
青磁筍花入 重要文化財 南宋?時代? 根津美術館
竹一重切花入 銘 園城寺 千利休作
竹輪無二重切花入 銘 再来 小堀遠州作
唐?物肩衝茶入 銘松屋肩衝 重要文化財 南宋?-元?時代? 根津美術館
古瀬戸茶入 銘在中庵 藤田美術館
曜変天目茶碗 国宝 南宋?時代? 静嘉堂文庫
小井戸茶碗 銘 老僧 李朝?時代? 藤田美術館
瀬戸黒茶碗 銘 小原女 桃山時代?
黒楽茶碗 銘 俊寛 楽長次郎作 桃山時代?
志野茶碗 銘 卯花墻 国宝 桃山時代?
御所丸茶碗 銘 由貴 李朝?時代?
堅手茶碗 銘 長崎 重要文化財 李朝?時代? 根津美術館
高取面取茶碗
亀甲蒔絵大棗
木地粒菊蒔絵茶器
竹茶杓 銘 泪 千利休作 桃山時代?
竹茶杓 銘 長刀 古田織部作 桃山時代?
竹茶杓 銘 窓竹 小堀遠州作 江戸?時代?
古芦屋霰地文真形釜 室町時代? 五島美術館
信楽一重口水指 銘 柴の庵
茶室 待庵 不審庵 如庵
ほか