国内盤未開封新品でございます。
内容は言わずもがな。
ラインナップはポピュラー系且つNWOBHM系名手揃い。
Robin McAuley(Vo、ex-Grand Prix)、御存知!名手Michael Schenker(G、ex-UFO、MSG)、Steve Man(G/Key&Vo 現Lionheart)、
Rockey Newton
(B/Vo、現Lionheart/新生Grand SlamかのDef Leppardスタジオコーラス要員)、
Bodo Schoff(Ds)となります。
また、Dave Amato等のバックコーラス参加がございます。
プロデュースはかのFrank Filipetti(Foreigner等手掛ける)となります。
1989年ドイツ・ハノーヴァー”Beatbox””Frida Park Studios”(創作中心)、
米国カリフォルニア州ロサンゼルス”One on One Recording Studios”
”Track Record Studios”(録音制作)、
米国ニューヨーク”Right Track Recording”(ミキシング)での制作となります。
初期MSGが崩壊。
ビジネス・トラブル(いつもの事でございますが.....)解決もあり暫く音楽シーンから離れ、かの兄Rudolf Schenkerを頼りドイツに戻っていたMichael Schenker。
当時引退が囁かれておりましたが音楽ビジネス側が手放す訳が無く(笑)、新バンド結成を模索する事となります。
そしてNWOBHMのポピュラー面を担った名バンドGrandPrix離脱後かのChris Glen等と”GMT”を結成。
またToto絡みのドイツのプロジェクト”Far Corporation”に参加、
ドイツを拠点としてソロとしても活動を始めたものの芳しいものではなかったRobin McAuley。
TVでかの”Far Corporation”のライヴを観たMichael Schenkerが非常に興味を持ち、マネージメントに仲介を依頼。
両者が顔合わせとなりますが、
非常にウマが合った模様で共同で新バンド結成を模索する事となります。
Robin McAuleyのポピュラー系NWOBHM人脈からLionheart組のSteve Man/Rocky Newton、
ドイツ・セッションミュージシャン界隈からBodo Schoffを起用し結成されたという経緯がございます。
(双方共にRobin McAuley関連の感。
但し、
後者は
Michael Schenkerが同じ母国言語であるドイツ人を望んだ事で、英語が堪能で国際的な活動経験のある人物を起用という感。)
そもそもが”McAuley Schenker Group”名義。
”M.S.G.”との事で”Robin McAuleyとMichael Schenkerの音楽的パートナーシップ”を中心とした”Group”との事でございます。
前作リリース後は賛否両論を呼ぶものの、
アメリカでは初期MSGよりもセールス/チャートアクションが良いもの。
かの”Rush”の前座にも起用されるなど好調な活動を展開。
また日本では結構インターバルを置いた登場で大きな成功を収めたものの、以前のMichael Schenkerを求めるファンも多く、賛否両論と化す事となります。
ツアー後にはセカンド・ギタリストの地位に収まる筈がない名手Mitch Perryが離脱。
参謀Steve Manが復帰したものの、次作の音楽性に大きな影響を与える事となります..............................................
さて今作。
前作への批判を考慮した感がございますが、
ギター中心等ハード化が為されているものの
音楽性は前作と同じ。
NWOBHMのポピュラー面を担った名バンド”Grand Prix””Lionheart”のメロディアスさを八十年代的に洗練させた感のある音楽性ではございます。
但し、音造りが前作の煌びやかさから、重さ/ハードさへと変更されている事がミソでございます。
Michael SchenkerがL.A.に拠点を移していた事や名手Mitch Perry等々若手ハイテク系ギタリストがMichael Schenkerを師と仰いでいた事からも
、
当時のハイテク・ギタリスト・ブームに呼応した感が有り、Michael Schenker自身が技術向上を強く図った感がございます。
されどMichael Schenkerの創作貢献は半数程。
バンドにはRobin McAuley/Steve Mannという安心の存在。また双方共に
メロディ面を含め単独原曲創作が可能なミュージシャン。
今作ではハードさ重視という事が有り楽曲によっては両人がそれに基づいた原曲創作を行い、
またそれらの素材が非常に質が高い事からMichael Schenkerはアレンジ貢献中心に留まったという感がございます。
正直今作ではRobin McAuley/Steve Man主導の音楽性の感がございますが、ハードさや躍動感はMichael Schenker前提の感。
今作では(コーラス除く)メロディアスさは前述二名色が強いものの、Michael Schenkerの色を加えたという感がございます。
Robin McAuley/Steve Mann中心という感の今作では、アメリカン・メロディアス・ハード系の名バンド”Survivor”を彷彿とさせる楽曲も存在。
後にRobin McAuleyが加入する事が非常に興味深いものでございます....................................
楽曲の質は前作同様非常に高いもの。
そもそも”初期Michael Schenker Group”時代はMichael Schenker以外に音楽的主導権を握るソングライターがいない事もあり、
(メロディ面を含め)創作面を全て負うという立場にMichael Schenker自身が疲弊した感がございます。
今バンドでは(メロディ面を含め)単独で作曲が出来るRobin McAuleyそして(かのLionheartの参謀でもあった)Steve Manが存在している事があり、
Michael Schenkerは肩の荷を下ろしたという感がございます。
典型的な八十年代HR/HM的リズムの有り方や楽曲の細かい構築性が以前のMichael Schenkerの音楽性と異なる事が問題視されますが、
何せメロディ面も担えるというソングライターが三名。
以前からPhill Mogg等々と共作をしたMichael Schenkerではございましたが、UFO時代からメロディアス面はMichael Schenker自身が一手に担うというもの。
以前と創作環境が大幅に変わり、そこがミソという感が致します。
アメリカン・メロディアスHR/HM系の音楽性を指向した感がございますが、
皆
英国/
アイルランド/ドイツというヨーロッパ系。
Michael Schenker在籍時UFO、初期MSG含め英国系HR/HMという観点から見れば問題作となりますが、
英国/ヨーロピアン系ロックという観点から鑑みれば洗練メロディアス系ヨーロピアンHR/HMの傑作となる感がございます。
前作同様、
今作
リリース
後は
再び賛否両論。
当時は衝撃/問題作扱いされる事となります................................
また当時は「スラッシュ・メタル全盛期」に「グランジ/オルタナ台頭」という「反八十年代」という時代に突入。
移ろい易い音楽シーンや聴衆の問題から来る「興味の欠如」もあり、セールス/チャートアクションは惨敗の憂き目に......................
活動もままならず、ラインナップは崩壊へと向かう事となります...............................
また
Michael Schenkerの熱狂的なファンを持つ(最後の砦とも言える)
日本でも賛否両論。
坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、と、音楽パートナーであるRobin McAuleyへ非難の矛先が強く向くという始末となります.....................
(御存知!「シェンカー教」の皆様ではございますが.............近年では一部集団が余りにも排他的で意固地、攻撃的となり「タ○バ○/ア○カ○ダ化」している模様。
古来からのMichael SchenkerファンやMichael Schenker音楽活動全般を網羅するファンから「冗談が通じない!」と嘆かれている模様でございますが....................
)
Michael Schenkerとは言え、ポピュラー系NWOBHMミュージシャンを音楽性の中心に据えた感のある今バンドではございますが....................
NWOBHMは、Iron Maiden、Saxon、Angel Witch、Whitespirit、Diamond Head等々という名バンドで語られ、
後の”Thrush Metal Movement”に繋がる事でも知られます。
されど、Praying Mantis、Grand Prix等々のメロディアス/ポピュラー系の名バンドが存在していた事でも知られており、
この”M.S.G.”やこの”M.S.G.”が拠点としたL.A.の”L.A.Metal Movement”にもその音楽性が引き継がれている事が
興味深いものでございます.................
ボーナス楽曲は三曲。
シングルリリース用ヴァージョン二曲に外れ楽曲一曲となります。
前者は短縮ヴァージョンではございますが、案外違和感のない編集具合がミソ。
後者は”McAuley/Schenker”での楽曲でございます。
今作収録には若干弱いという感が否めないものがございますが、
中々の出来。
”Robin McAuley/Michael Schenker”のパートナーシップで成り立つこの”M.S.G.”ではございますが、
ハードさを強めたとは言えMcAuley/Mann主導という感のある今作を象徴する感がございます.....
現在では入手が非常に困難。
この機会に是非。